日本映画を語るうえで、高倉健を抜きにする事は出来ないと思います。
前回「遥かなる山の呼び声」でも登場した高倉健を見た事が無い⁉と言う若い人
がいたので、健さんをわかりやすく知る事が出来る映画を2本ご紹介します。
今回は「駅 STATION」1981年の作品で、高倉健が良い人(三上英次役)を演じています。
北海道の現在は廃線になった留萌本線の増毛駅周辺での出来事がストーリーです。
オリンピックを目指した刑事(高倉健)の周りで起きる事件をきっかけに、
昭和の映画史を飾る名女優4人が登場し、大きく3つのエピソードで男と女を
描いたドラマ仕立ての映画です。
バックには、八代亜紀の「舟唄」を中心とした演歌が効果的に散りばめられ、
昭和のさびれた雰囲気と登場人物一人一人が歯を食いしばって生きて行こうとする
熱量を感じます^^
出演女優は、いしだあゆみ、烏丸せつこ、古手川祐子、そして倍賞千恵子。
昭和を代表する4人の女優さんはどの方も、名演技でそれぞれ紹介したいのですが、
ネタバレをしないところで紹介すると、映画の冒頭で登場するいしだあゆみでしょう。
言葉を一言も話さないのですが、
ひとつの別れを、泣き顔と気丈な気持ちと笑顔を同時に表現する事によって、
見事に(本当に見事に)気持ちを表現しています。
この場面を見るだけでも価値のある本当に凄い演技です。
そして、本題の高倉健は、若い頃オリンピック代表選手と犯人追跡の両立に悩み、
中年期は指導者として部下(射撃選手)との意識の違いに悩み、
そして、母の衰えや刑事の不条理さ、別れ離れの子供の成長なども感じて、
今後の自分の身の置き方に悩んでいく。
心の葛藤と刑事としての使命感を、うまく演じています。
多くの高倉映画に言える事は、主演の高倉健が多くを語らず、僅かな表情の変化で、
いろいろな感情を表現します。その演技は多くの他の映画ストーリーにも影響し、
高倉健が演じる主人公を、信頼する人達が集まり話が進んでいくというある意味鉄板ネタです。
のび太がドラえもんにすがりつくみたいな感じでしょうか^^
ですが、この「多くを語らない」と言う形は、
最近の若い人にはどう受け取られるかが興味あります。
最近のポピュラーミュージックは歌詞がとてもわかりやすくストレートです。
最近はやっている韓国ドラマも愛情表現がストレートだと聞きました。
多くを語らないスタイルはある一定の年代のオジサマ世代や職人気質の方々には、
絶大な人気があると思います(私もその一人)。是非若い人と話してみたいです。
そんな旧来の日本人を表現する言葉、「空気を読む」映画を是非何度も繰り返し、
ご覧いただければと思います。
先日会社の若手に「仕事教えて下さいよー」って言われました。
あんまり教えなかったけど、健さん映画観た後だったから格好つけちゃった^^
ごめんな^^;
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